株式会社ディーエムシーのコラムをご覧になっていただきありがとうございます。
本日のテーマは、資金調達の現場で混同されやすい
「ファクタリング」と「ABL(動産・債権担保融資)」の違い についてです。
どちらも「売掛債権を活用する資金調達」として紹介されることが多く、
実際に
「ファクタリングとABLって同じじゃないの?」
「銀行にABLを勧められたけど、ファクタリングと何が違うの?」
といったご相談は非常に多く寄せられます。
しかし、両者は仕組み・法的な位置づけ・資金調達としての考え方が根本的に異なる手法です。
違いを理解せずに選んでしまうと、
・思ったように資金が入らない
・資金繰りが悪化する
・将来の融資に悪影響が出る
といった事態にもつながりかねません。
本記事では、実務の現場目線で、ファクタリングとABLの違いを一つひとつ丁寧に解説していきます。
目次
■1. ファクタリングとABLの基本的な仕組みの違い
まず最初に押さえておきたいのは、ファクタリングとABLは「資金の性質」が全く異なるという点です。
ファクタリングは、企業が保有している売掛債権を第三者(ファクタリング会社)に売却することで資金化する手法です。
売掛金という資産を現金に変える取引であり、借金ではありません。
そのため、貸借対照表上でも「負債」が増えるのではなく、「資産の入れ替え」が行われるイメージになります。
一方、ABLは「Asset Based Lending」の略で、日本語では動産・債権担保融資と呼ばれます。
こちらはあくまで融資であり、売掛債権や在庫、機械設備などを担保にしてお金を借りる仕組みです。
つまり、資金は入ってきますが、その分「借入金」という負債が増えます。
この違いは非常に重要で、
・ファクタリング=資産売却
・ABL=担保付き借入
という位置づけになります。
そのため、同じ売掛債権を使うとしても、
会計処理・財務への影響・金融機関からの見え方が大きく異なるのです。
■2. 法律上の位置づけと「借金かどうか」の決定的な差
ファクタリングとABLの違いを語るうえで避けて通れないのが、法律上の扱いです。
ファクタリングは、民法上の「債権譲渡契約」に基づく取引です。
金銭消費貸借契約ではないため、利息制限法の対象にもなりません。
その結果、「金利」という概念は存在せず、代わりに「手数料」という形で費用が発生します。
一方でABLは、完全に融資契約です。
金融機関やノンバンクが、債権や動産を担保にして資金を貸し付けるため、
当然ながら利息制限法・貸金業法・銀行法などの規制を受けます。
この違いにより、
・ファクタリングは信用情報に借入として載らない
・ABLは借入として信用情報・決算書に反映される
という明確な差が生まれます。
特に、
「これ以上借入を増やしたくない」
「金融機関からの評価を下げたくない」
という企業にとっては、ファクタリングの方が心理的・実務的なハードルが低いケースも多いのです。
■3. 審査基準の違いが資金調達スピードを左右する
次に大きな違いとなるのが、審査の考え方です。
ファクタリングの審査で最も重視されるのは、
売掛先(取引先)の信用力です。
なぜなら、売掛金を最終的に支払うのは売掛先であり、
ファクタリング会社はその回収可能性を見て判断するからです。
そのため、利用企業が赤字決算であったり、債務超過であったとしても、
売掛先が大手企業や官公庁、安定企業であれば、
問題なく資金化できるケースが多くあります。
一方、ABLは融資であるため、
・利用企業自身の決算内容
・事業継続性
・返済能力
が厳しくチェックされます。
担保があるとはいえ、返済不能になれば金融機関にとってもリスクとなるため、
審査はどうしても慎重になり、時間もかかります。
結果として、
・スピード重視 → ファクタリング
・中長期の安定資金 → ABL
という使い分けが実務では一般的です。
■4. 債権譲渡登記・管理方法の違いによる実務上の影響
ファクタリングとABLは、債権の管理方法にも大きな違いがあります。
ファクタリングでは、
・債権譲渡通知を行う
・債権譲渡登記を設定する
という形で、債権の移転を明確にします。
特に登記型ファクタリングの場合、法務局に債権譲渡登記が設定されることで、
第三者対抗要件を確保します。
ABLでも同様に、債権譲渡登記や集合動産譲渡登記が使われることがありますが、
あくまで「担保設定」であり、債権の所有権は企業側に残ります。
この違いにより、
・ファクタリング:債権はファクタリング会社のもの
・ABL:債権は企業のもの(ただし担保)
という構造になります。
この点を理解していないと、
「すでにファクタリングで売却した債権をABLの担保に出してしまう」
といった重大なトラブルにもつながりかねません。
■5. コスト構造と「高い・安い」の正しい考え方
よくある誤解として、
「ABLの方が金利が低いから得」
「ファクタリングは手数料が高いから損」
という声があります。
確かに、表面的な数字だけを見ると、ABLの方が低コストに見えることがあります。
しかし、実務では単純比較はできません。
ABLは、
・長期契約
・返済義務あり
・借入枠管理
が前提となるため、資金繰りが悪化した際のリスクが大きくなります。
一方、ファクタリングは、
・単発利用が可能
・返済という概念がない
・資金繰り改善効果が即時
という特徴があります。
短期的な資金繰り改善を目的とするなら、
多少手数料がかかってもファクタリングの方がトータルで安全なケースも多いのです。
■6. どんな企業にどちらが向いているのか
実務上、向いている企業像はある程度はっきりしています。
ファクタリングが向いているのは、
・売掛金はあるが資金繰りが厳しい
・赤字決算、債務超過
・融資が通らない、時間がかかる
・短期で現金が必要
といった状況の企業です。
一方、ABLが向いているのは、
・比較的安定した決算内容
・中長期での資金確保
・銀行取引を重視したい
・在庫や設備を多く保有している
といった企業になります。
どちらが優れているという話ではなく、
企業のフェーズと目的によって選ぶべき手法が違う
という点が重要です。
■7. ファクタリングとABLを正しく使い分けることが経営を守る
ファクタリングとABLは、似ているようで全く別物の資金調達手法です。
この違いを理解せずに選択してしまうと、
・資金繰りが改善しない
・将来の融資に悪影響が出る
・法的トラブルに発展する
といったリスクも否定できません。
重要なのは、
「今、自社は何のために資金が必要なのか」
「短期なのか、中長期なのか」
「借入を増やすべきか、資産を活用すべきか」
を冷静に整理することです。
資金調達は、経営戦略そのものです。
正しい選択が、会社の未来を大きく左右します。
■株式会社ディーエムシーからの挨拶
株式会社ディーエムシーでは、ファクタリング・ABL・融資・補助金など、
企業の状況に応じた最適な資金調達方法をご提案しております。
「自社にはどちらが合っているのか分からない」
「ファクタリングとABLで迷っている」
「金融機関に言われた内容が正しいのか判断できない」
そのようなお悩みがございましたら、ぜひ一度ご相談ください。
資金調達を単なる“お金集め”ではなく、
経営を守り、成長させるための戦略としてサポートいたします。
今後とも株式会社ディーエムシーをよろしくお願いいたします。



この記事へのコメントはありません。