個人事業主は機動性のあるビジネス展開ができるなどのメリットがありますが、資金調達の面では法人形態よりも不利になるのが普通です。

また同じ個人であっても、会社員や公務員など企業等に雇用されている人と比べて貸付けにかかるリスクを慎重に判断されます。

個人事業主の方は、融資の際に金融機関の担当者がどのような目線で審査するのか、チェックポイントを知っておくことで融資の可能性を高めることにつながります。

この回では融資担当者が個人事業主を審査する際にどのような点をチェックするのか見ていきます。

所得の状況
融資担当者が個人事業主を審査する際にチェックする5つのポイント01

個人事業主が法人や被雇用者たる一般個人よりも貸し付けのリスクを高く判定されるのは、収入状況が安定しにくいからです。

決まった給料が一定時期に入る被雇用者と違い、個人事業主は自らが営むビジネスが好調か不調かによって収入が増えたり減ったりします。

好調の時は景気が良くても、不調の時は1円も入ってこないこともあり得ます。

こうした理由から、融資担当者が個人事業主を審査する際には対象者の実質的な手取り額となる「所得」と、その所得がどれくらい変動なく、あるいは上向きで得られているのかという「安定性」の評価を行います。

所得はビジネスで得られる売り上げそのものではなく、その売り上げを出すために投じた経費や個人にかかる税金、社会保険料などを差し引いたものです。

事業主が個人で自由に使えるお金と思って差し支えありません。

その所得の安定性を見るため、通常は数期分の確定申告書の提出を求められます。

これにより、現在好調で売り上げが上向きとなっているか、または平均的に安定して売り上げが上がっていればひとまず印象は悪化しませんが、売り上げが段々落ち込んでいるようであれば危険を感じ融資に及び腰になるでしょう。

金融機関によって、また売り上げの状況によっても異なりますが、担当者が慎重に判断する場合、数期分の所得のうち最も少ない金額を基に判定を行います。

印象が悪くなければ、数期分の所得の平均値を基に審査することもあります。

税金や社会保険料の滞納が無いか
融資担当者が個人事業主を審査する際にチェックする5つのポイント02

税金の滞納があるとかなりの危険信号ですので、この判断のためにほとんどの場合納税証明書の提出を求められます。

同様に社会保険料の滞納がある場合もハイリスクと判定されます。

納付書などで支払いの確認をされると思いますが、税金や社会保険料を払えないということは貸し倒れのリスクが相当高いことを意味しますから、融資はかなり難しくなると考えて良いでしょう。

支払いを忘れているだけであれば融資を申請する前に支払いを済ませておくようにしましょう。

借り入れの返済滞納が無いか
融資担当者が個人事業主を審査する際にチェックする5つのポイント03

他の金融機関からの借り入れがあり、その返済に滞納があると貸し倒れのリスクが高くなります。

返済遅延や滞納が無いかどうかという信用情報は信用情報機関で管理されており、金融機関は自由に照会することができます。

この信用調査で遅延や滞納があるとかなり印象が悪くなるので融資は難しくなるでしょう。

返済遅延等の情報は概ね5年程度掲載されるので、その間に融資の申請をするとかなり不利に働きます。

今現在、自分の不利な情報が掲載されているかどうかは自分で信用情報機関に問い合わせ、手続きをとることで開示してもらうことができますので、必要に応じてチェックしてみましょう。

財務諸表のデータは健全か
融資担当者が個人事業主を審査する際にチェックする5つのポイント04

担当者は貸借対照表や損益計算書などの財務諸表を読み解いて、現在のビジネスの状況を詳しく精査します。

例えば以下のようなポイントをチェックされるでしょう。

・借入金項目を見てその額が不相応に大きくないか
・債権項目を見て売掛金で回収不能なものがないか
・棚卸資産項目を見て不良な在庫がないか
・経常利益項目を見て黒字になっているか
・減価償却費は適切に処理しているか
etc

経理に明るい事業主であれば、普段から財務諸表の状況が悪化していないかチェックしておくと良いでしょう。

自己資金は十分か
融資担当者が個人事業主を審査する際にチェックする5つのポイント05

スタートアップの個人事業主が日本政策金融公庫の融資を申請する場合は、最低限の自己資金が必要とされています。

概ね創業資金に占める自己資金が十分の一程度ないと基本的には融資が難しいとされています。

ただしこれは最低限で、実質的には十分の三程度の自己資金がある方が望ましいとされています。

日本政策金融公庫の場合は自己資金だけでなく創業計画の実行性、精密さなども求められるので、専門家の助力を得ながら融資獲得に動くことが多いようです。

融資否決を避けるには?

融資担当者が個人事業主を審査する際にチェックする5つのポイント06

ここではできるだけ融資の否決を避けるための方法を見ていきます。

まず日ごろからできることでは、経費項目の使い過ぎを避けることが挙げられます。

経費は数字上の売り上げを圧縮して節税作用を生むので活用すべきですが、経費を使いすぎてしまうと所得額が小さくなるので、あまり過ぎてしまうと信用面に悪影響がでます。

極端な経費活用は避けて妥当な額に納めるようにしましょう。

そして税金や社会保険料の納付漏れが無いようにします。

創業間もない方は確定申告の手続きをしていないと融資の審査そのものが受けられない可能性があるので注意してください。

自身の信用だけで融資が難しい場合は担保や保証人の用意が必要です。

担保については自身で提供できるものが無い場合、家族や親族などの第三者が提供する担保物も利用できるので、必要に応じて身近な人にお願いしてみても良いでしょう。

まとめ

融資担当者が個人事業主を審査する際にチェックする5つのポイント07

この回では融資担当者が個人事業主を審査する際のチェックポイントについて見てきました。

被雇用者と違い収入に波がある個人事業主はより細かいリスク判定を受けるので、所得の状況などを詳しく見られる他、税金等の滞納も厳しくチェックされます。

融資が難しい場合でも、弊社が提供するファクタリングならば問題なく利用できます。

ファクタリングは借り入れではなく売掛債権の譲渡取引ですから、債権を譲渡する企業に赤字があったり、税金の滞納がある場合でも特に問題にはなりません。

必要な資金を迅速にお届けさせて頂きますので、資金が必要なシーンでぜひご相談頂ければと思います。