富裕層は何かと税金課税の面で対象にされやすいので煩わしさを感じている方も多いと思います。
そこで効果的な節税対策を考える必要が出てきますが、以前から人気があるのがタワーマンション高層階の購入による節税です。
タワマンはそれ自体がステータスであり住み心地の面でも良好ですが、節税面については近年のルール改正で一部節税メリットが薄れています。
本章では富裕層がタワマン最上階を狙う理由を節税面から解説します。
節税メリットは市場価値との乖離にあり
本来、タワマンが節税対策として人気を得たのは税金面での評価額が市場価値よりも低く見積もられるのが理由です。
基本的にタワマンなどの高層階の建物は、より高層に行くほど人気があるので市場価値が高くなります。
しかし税金面においてはそのような市場価値は考慮されず、決まった算定方法で課税対象となる価額が決められます。
まず固定資産税においては対象不動産の面積を基準にして固定資産税評価額が算出され、これを基準にして税金をかけられます。
高層階に行くほど市場価値は高まるのに、低層階でも高層階でも床面積が同じであれば税金は変わらないということで、高層階を購入すればその差額だけ得をするということです。
また相続税方面においては、課税対象の不動産の評価は土地に関しては基本的に路線価によって評価しますが、建物については上記の固定資産税評価額を準用して相続税評価額を算定します。
つまり相続税方面においても市場価値との乖離が生じ、市場価値は高いけれど相続税の負担は上がらないということになります。
タワマンの最上階がこの恩恵を最も受けるので、富裕層はタワマン最上階を狙いたがるということです。
固定資産税についてはメリットがなくなった
ところが近年タワマンによる節税が行き過ぎているという評価がなされ、固定資産税については節税メリットが低減されるようにルールが改正されてしまいました。
固定資産税の計算において、タワマン高層階にはより高額の課税がなされるように、逆に低層階は税負担が低くなるように計算上の調整が入るように改正されてしまったのです。
これにより固定資産税方面については節税メリットがなくなったと理解して差し支えありません。
固定資産税の計算ルールの調整は、平成29年1月2日以後に新築された居住用超高層建築物に対して課されることになっています。
相続税の面ではメリットあり
前項で見たルール改正は固定資産税の計算において調整がなされるものであり、固定資産税評価額そのものが変わるものではありません。
ということは、固定資産税評価額を基に算定される相続税方面についてはなおメリットがあるということです。
相続税で課税の対象となるのは相続税評価額ですが、建物については固定資産税評価額を準用するため、市場価値が上がるタワマン高層階でも相続税は上がらずに済みます。
タワマン高層階を相続した相続人は相続税の負担上昇を避けることができ、なおかつ売却すれば市場価値の高さから高値で売ることができるわけですね。
タワマンの節税効果は先細り?
なお節税作用があるタワマンですが、最近はその人気も細ってきているようです。
というのも、タワマンによる節税は富裕層以外の庶民から評判が悪いので、もしかしたら更なるルール改正で相続税の面でも節税作用がなくなってしまうのではないかと危惧されているからです。
まだ具体的な話が出ているわけではありませんが、税制改正は毎年行われるので、今後の税制動向に注視したいところですね。
まとめ
この回では富裕層がタワマン最上階に住みたがる理由を節税面からひも解いてきました。
市場価値が反映しない税金の算定方法では本来の価額よりも価値評価が低くなることから、タワマンには相続税方面で節税作用を期待することができます。
今でも十分に人気がありますが、全体的な潮流としては先細りの傾向がみられるので、今後の動向に注目していきましょう。
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