— 長い支払サイクルと先行投資の多さを乗り切るための実践ガイド —
株式会社ディーエムシーのコラムをご覧になっていただきありがとうございます。
本日は、中小企業の中でも特に資金繰りが難しいと言われる 「建設業の資金調達」 について、実務目線で丁寧に解説していきます。
建設業は「仕事があるのにお金が足りない」という状況が非常に多い業種です。
理由は明確で、
- 材料費
- 外注費
- 人件費
といった先行支払いが重くのしかかる一方、
売上の入金は完工後の1〜2ヶ月後、案件によっては3ヶ月後になることも珍しくありません。
そのため、資金調達の知識を持っていないと、
黒字でも倒産する「黒字倒産」が起こりやすい構造になっています。
この記事では、建設業が直面する資金繰りの課題から、
利用できる資金調達手段、補助金の活用、実務的な資金繰り改善策まで、
幅広く網羅的にご紹介します。
目次
■1.建設業が資金繰りで苦しむ理由 —業界特有の構造を理解する
建設業の資金繰りを難しくしているのは、まさに業界の構造そのものです。
① 先行支払いが多い(材料費・外注費・人件費)
建設業は工事が始まる前から資金が必要になります。
材料・設備の調達費、職人への支払い、外注先への前払いや中間払いなど、現場を動かすための資金が先に出ていくのが特徴。
② 入金が遅い(支払サイトが長い)
完工して検収が終わっても、入金は「翌月末」「翌々月末」など非常に長い。
大規模工事では部分払いのタイミングも限定されるため、資金ギャップが大きくなります。
③ 赤字決算が多く信用力が弱い
建設業は利益率が低いため、赤字・薄利が続く企業も多く、銀行融資が通りにくくなりがちです。
④ 下請け構造による価格交渉力の弱さ
元請けに支配されやすく、資金サイクルや支払条件を選べないケースが多いのも問題。
こうした背景から、建設業は“資金繰りの知識”が成否を分ける業種といえます。
■2.建設業で利用できる資金調達手段の全体像
建設業が使える資金調達方法は以下の通りです。
- 銀行融資(運転資金・設備資金)
- 信用保証協会付き融資
- ビジネスローン(ノンバンク)
- ファクタリング(売掛金の資金化)
- 注文書ファクタリング(着工前の資金化)
- でんさい割引
- ABL(工事代金や重機を担保にした融資)
- リース(重機・車両)
- 補助金・助成金
- 事業再生支援型の融資(返済条件見直し)
特に建設業では、
“納品前・工事前に資金を確保できるかどうか”
が非常に重要です。
そのため、「注文書ファクタリング」や「工事請負契約書を活用した資金化」など、建設業特化型の手法が増えています。
■3.短期の運転資金を確保したい時の資金調達
建設業で最も多い相談が「当月の資金繰りをなんとかしたい」という内容です。
① ファクタリング(売掛金の資金化)
完工後の売掛金を先に現金化できるため、
- 外注費
- 資材費
- 人件費
の支払に充てやすく、最も利用されています。
② 注文書ファクタリング(着工前の資金調達)
建設業と非常に相性が良い手法。
受注後すぐに資金化できるため、仕入れ・下請け手配がスムーズに。
③ ビジネスローン(ノンバンク)
スピード重視の資金調達として選ばれます。
赤字決算・税金滞納があっても相談できる場合があるのが特徴。
④ でんさい割引
大手元請けとの取引がある企業は非常に有効。
手数料も安く、信頼性が高い。
■4.長期の設備資金(重機・車両・倉庫拡張)を調達する方法
建設業は設備の占める割合が高く、資金負担も大きくなります。
① 銀行融資(設備資金)
金利が低く、返済期間も長く設定できるため最も王道。
増車・重機購入・倉庫・資材置場・事務所移転など幅広く活用できます。
② リース・割賦契約
初期費用が抑えられ、月額費用が一定になるため資金計画が立てやすい。
重機・ユニック車・ダンプなどの購入に最適です。
③ ABL(動産担保融資)
保有している重機・資材・工事代金などを担保に資金調達する方法。
赤字決算でも相談できる点が評価されています。
■5.建設業と特に相性が良い資金調達トップ3
第1位:ファクタリング
完工後の入金サイトの長さを解消できるため、最も実務で利用されている手法。
第2位:注文書ファクタリング
建設業最大の課題“着工前の資金不足”を埋めてくれる強力な資金調達。
最近は利用企業が急増。
第3位:銀行融資(設備資金)
信頼性が高く、長期設備投資に最適。
銀行との関係構築は建設業の経営安定に欠かせません。
■6.建設業が活用できる補助金・助成金
建設業は国の支援制度が多い業種です。
代表的な補助金
- 持続化補助金(販路開拓)
- ものづくり補助金(建設DX・システム導入)
- 事業再構築補助金(業態転換・設備導入)
- 省エネ補助金(省エネ建材・設備)
助成金
- 人材開発支援助成金(技能講習)
- 働き方改革推進支援助成金
- 雇用調整助成金
補助金は後払いなので、
採択後にファクタリングや融資と組み合わせる戦略
も有効です。
■7.資金繰りを改善するための実務的ポイント
資金調達だけでなく、内部改善も重要です。
① 入金サイトの短縮交渉
元請けとの契約見直しで改善できるケースがあります。
② 外注費・材料費の支払いサイクル調整
③ 重機・車両のリース活用(固定費の平準化)
④ 工期管理の徹底(遅延は資金繰り悪化の原因)
⑤ キャッシュフローを重視した管理体制
損益よりも「現金の流れ」を重視することが非常に大切。
■8.まとめ — 資金調達を知ることは“黒字倒産”を防ぐ最大の武器
建設業は、
- 先行支払いが多い
- 入金が遅い
- 採算管理が難しい
という特徴から、資金繰りが厳しくなりやすい業種です。
しかし、
- ファクタリング
- 注文書ファクタリング
- 銀行融資
- ABL
- 補助金・助成金
など、多様な資金調達手段を理解し、組み合わせることで経営は安定し、
現場が止まらない強い会社づくり につながります。
株式会社ディーエムシーでは、建設業の資金繰り・ファクタリングみおいて
幅広いサポートを行っております。
資金調達や経営相談について、お困りの際はお気軽にご相談ください。



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