会社を運営する経営者は常日頃から自社の資金繰りについて細かく気にかけていなければなりません。

取り引きが順調なように見えても、すぐに活用できる現金が手元に十分になければ突然の資金ショートの危機が訪れることもあります。

経営者としては資金調達について複数の手段や方策を身に着けておく必要があるので、本章では銀行からの融資以外で考えられる資金調達方法をいくつか見ていきます。

資金調達は大きく分けて返済の必要があるもの、返済の必要がないもの、保有する資産の現金化の3つの方法が考えられるので、これらを順に見ていきます。

返済が必要な資金調達

返済が必要な資金調達

返済が必要な資金調達としては公的融資と民間融資があります。

①公的融資

公的融資における代表格は日本政策金融公庫と信用保証協会です。

前者は事業性資金調達を低金利で行えますが、民間より条件が厳しく使い勝手が悪い、融資実行までに時間がかかるのが難点です。

後者は自治体と協力して公的な保証を取り付けることで、本来ならば難しい事案でも民間金融機関からの融資を可能にする仕組みです。

スタートアップ時など時間に余裕がある時には検討できますが、公的な支援は機動性がないため迅速な資金調達が求められるシーンには不向きです。

②民間融資

銀行以外のノンバンクもビジネスローン商品を提供しているので資金調達に利用できます。

公的な融資と違いスピーディな融資が可能で、審査も銀行ほど厳しくありません。

第三者保証や担保が不要なビジネスローンもあるので、これらの用意ができない経営者にとってはありがたい存在です。

ただしその分金利は高めとなり、無計画な利用は経営に打撃を与えることになるので注意が必要です。

返済不要な資金調達

返済不要な資金調達

次に返済が不要な資金調達手段をいくつか見ていきます。

①第三者割当増資

既存の株主以外の新たな株主を募って新株を発行します。

株式の交付と引き換えに得られる資金は返済不要な資本となるので、これを基に安定した経営が望めます。

ただし株主には基本的に会社の経営に対して注文を付ける権利があります。

株主が増えることで経営者の意思を尊重した運営が難しくなってしまうと、逆に経営が不安定になる恐れも出てきます。

②ベンチャーキャピタル

将来性のあるベンチャー企業であれば、有望性に対して投資を行うベンチャーキャピタルの支援を求めることもできます。

ベンチャーキャピタルは将来有望な企業に投資し、その会社が上場した契機に株を売って利ザヤを得る投資集団です。

出資を受ける側の企業は返済の必要のない資金を調達できますが、途中で将来性を見限られた場合、契約により株式の買い取りを求められ資金を一気に引き上げられる可能性もあります。

③エンジェル投資家

ベンチャーキャピタルの個人版ともいえるのがエンジェル投資家です。

企業としてではなく個人で投資を行う出資者で、意思決定が容易な個人であることから自社の事業を気に入ってくれさえすれば投資を受けられます。

ただしエンジェル投資家自体がそう多くなく、また将来性のある事業、他にはない面白みのある事業でないと彼らの目を引くことは難しいでしょう。

④クラウドファンディング

近年発達が著しいのがクラウドファンディングです。

インターネットを介して個人から少額の出資を募り、それらを合わせてまとまった資金調達とすることができます。

クラウドファンディングはサービスを提供するポータルサイトに登録し、自社の事業に対する出資を募ります。

訴求する相手は必ずしも金銭の見返りを期待する層だけとは限りません。

投資先の事業が純粋に社会の役に立っていると判断すれば見返り無しに出資を考える人もいます。

ただ実際には、事業が軌道に乗った際にその会社の商品やサービスを利用する権利を見返りに提供する約束となるのが一般的です。

他に例のない面白い取り組み、社会性のある事業、最先端の技術を開発する取り組みなど、色々な意味で目を引く事業内容であればクラウドファンディングが役に立つかもしれません。

クラウドファンディングはサービスを提供するポータルサイトがいくつもあり、それぞれ特徴が異なります。

利用を考える側はポータルサイトの性質を吟味しておかないと、訴求対象となる層に効果的に働きかけることができなくなるので留意が必要です。

保有資産の売却による資金調達

保有資産の売却による資金調達

融資は返済が必要で、増資など返済が不要な方法も実際の利用にはハードルがあります。

なんらかの保有資産があれば、これを売却することで自社の力だけでの資金調達が可能です。

①余剰在庫の売却

自社で生産した製品の在庫を一括整理することでまとまった資金獲得が望めます。

一括整理を考える場合、通常の売却ルートとは異なることで思うような値段で売れなかったり、値引き交渉で不利になる可能性があります。

ただ在庫品を保管するための管理費用なども考えると、それでも売ってしまった方が経営上は有利になることもあります。

事業転換などで生産する製品が代わり、旧製品が売れ残っているような場合は早めに余剰在庫の売却に動いた方が良いかもしれません。

②不動産の売却

会社が保有する不動産があれば重要な資金源になります。

不動産は多くの場合数百万円程度のまとまった売却代金を得られますから、大きな資金需要に対応できます。

ただ不動産は買い手が見つかるまでに時間がかかるので、迅速性が求められるシーンでは活用しにくいでしょう。

急ぎのケースの場合、買い手を市場で募る仲介による売却ではなく、不動産業者に直接買い取ってもらうこともできます。

仲介は買い手が見つかるまでに概ね三か月以上必要となることが多いですが、直接買取であれば不動産業者による見積もりの後ですぐに現金化が可能で、早ければ一週間~二週間程度で資金調達が可能です。

不動産はあるけれど事業に使用しているという場合、売却してしまうと事業の継続ができなくなります。

そのようなケースではリースバックを利用すると良いでしょう。

リースバックは買い手に所有権を移転するものの、その後は賃料を払って引き続き使用できるというものです。

事業継続に必須の不動産である場合は検討しましょう。

③動産の売却

不動産はないが、自社に所有権のある動産資産がある場合、これを売却の対象にすることもできます。

事業運営に直接関係ない絵画や美術品などがあれば良いですが、そういったものでなくとも自動車や事業用の機械など資産価値があるものであれば売却対象になります。

これらも事業の継続に必要であればリースバックによる売却で引き続き使用することもできるので検討しましょう。

③ファクタリング

そして当社も手掛けるファクタリングです。

売掛債権が発生するビジネスであれば、この債権を売却することで現金化が可能です。

海外ではポピュラーな資金調達法として定着しており、日本国内でも近年取引が急増しています。

ファクタリングは売掛金を早期に現金化するサービスですので、借り入れと違い返済の義務もなく、株主が増えて経営に口を出されるなどの心配も要りません。

当社が手掛けるファクタリングは万が一売掛先が倒産するなどして資金回収ができなくなった場合でも、債権譲渡企業様が一切責任を負わないノンリコースによる取引ですから安心です。

迅速性、確実性に優れた資金調達手段として機能しますから、資金ショートの危険があるなどのシーンで大活躍します。

当社のファクタリングは手数料も業界最低水準に抑えてありますので、ぜひご検討ください。

まとめ

まとめ

本章では銀行からの借り入れ以外で資金調達をする方法を見てきました。

銀行以外にも融資を受ける手段はありますが、結局は利子を付けて返済しないといけないので経営的にはできるだけ避けたいところです。

返済の必要がない出資を募ることもできますが、実際の利用はハードルが高いことが多いでしょう。

自社保有の資産売却による方法であれば、誰にも頼ることなく独力で資金を用意することができます。

換金しやすい売掛債権を売却するファクタリングは特にお勧めできるので、迅速な資金調達が求められるシーンで検討してください。