日本国内では昨年末あたりまで比較的落ち着いた状況が続いていましたが、海外ではコロナの変異株オミクロンが猛威を振るっていました。
これがとうとう日本国内でも感染が広がり、最初にコロナ騒動が騒がれ出した時のパニックに近い状況が生まれつつあります。
これまでの知見を活かすことができるので、あの時のようなロックアウトに近い状況とならないよう政府も全力を挙げていますが、ビジネスの面では大変苦しい状況であることに変わりありません。
本章では、今般のオミクロン株の再流行という状況下において、経営者が資金調達を考える際に留意すべき点を見ていきます。
総合的な資金繰り対策が求められる
パニックに近い状況下では、単に足りない資金をどう補うかという問題だけでなく、資金繰り全体に対して抜本的な見直しを行うことも必要になります。
コロナは今後も株を変異させて新たな流行を起こすことが予想されるので、経営における資金繰りも長期戦となることが考えられます。
特に、コロナの影響で売り上げが減少している場合は早急な対応が必要です。
総合的な資金繰り対応を考えるには、まず自社の現状を把握することが何よりも重要です。
そして、抑えられる支出はできるだけ抑え、その上で必要な資金を確保していくという姿勢が求められます。
まずは一番大切な現状把握について次の項で見ていきます。
現状を正確に把握するべし
事業資金はよく会社の血液と呼ばれますが、血液が滞ってしまえば会社は死んでしまいます。
資金が枯渇しないように目を配らならければならないわけですが、見通しが利きづらいコロナ禍において自社の資金体力がどこまで持つのか、可視化することができれば現状把握が可能になります。
そこでお勧めしたいのが資金繰り表の作成です。
今現在どこにどれくらいの支払いが必要で、自社の収入はどれくらいあるのかを表に書き出してみます。
このままいくとどの時点で資金ショートが発生しそうかが目で分かるので、現状の把握に役立ちます。
もし資金ショートの危険が無く順調に推移するようであれば問題ありませんが、そうでない場合は対処法を考える必要が出てきます。
不要な支出が無いか検討し出費を止める、家賃の支払いなど相手がある出費の場合は個別に交渉を試みるなどの対応を考える必要もあるでしょう。
資金繰り表は経理部門に指示して今後一年程度に渡る試算表を作成させてもいいでしょうし、経理部門がなければ自分でエクセル等を使って作成することもできます。
難しいようであれば以下の資料を参考にすることもできます。
公認会計士協会近畿会様のサイトで、「改訂資金繰表」というファイルがあるのでダウンロードしてください。 https://www.jicpa-knk.ne.jp/download/download04.html |
収入は現実に入金が見込まれる金額を記入しますが、どうしても難しければ予想値でも構いません。
支出についても請求書があるなど金額が決まっているものは正確に記入し、どうしても確定できないものは予想値で結構です。
こうして将来にわたってどのようにお金が動き、資金体力がどのように増減するのかが分かれば、必要に応じて資金ショートを避けるための行動を取ることができます。
対処が必要と判断された場合の手立てとして、まずは支出を抑えるための方策について見ていきます。
支出を抑える
支出を抑えると言っても、事業展開に必要な出費を止めてしまえばビジネスが成り立たなくなります。
ここでは以下のような支出の低減策を提案します。
①金融機関に対する返済の猶予
コロナ禍の経営事情に鑑み、金融庁は金融機関に対して、元本を含めた返済猶予などの条件変更に柔軟に応じるように要請しています。
https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/06.pdf |
資金繰りが苦しくなりそうであれば、取り引き先の金融機関に早めに相談するようにしましょう。
②税金の猶予
国税及び地方税においては、コロナ禍で経営が苦しい事情に鑑み、納税の猶予などの対応を認めています。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htmhttps://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu02_000399.html |
こうした救済策は積極的に利用したいものです。
③賃料の支払い猶予
不動産賃料に関しても、国交省が柔軟な猶予策を検討するように要請を出しています。
https://www.mlit.go.jp/common/001340555.pdf |
賃貸人側もビジネスですので交渉が上手くいくかは分かりませんが、新たな借り手の確保が難しいと思われれば相談に乗ってくれる可能性は十分あります。
④公共料金の猶予
経済産業省からは、電気ガス水道などの公共インフラ事業者に対し、コロナ禍の状況に鑑み、支払いが困難な事情がある場合には支払いの猶予について柔軟に応じるように要請がでています。
こちらについては個別にインフラ事業者に相談することになります。
以上いくつか支出の抑制策を見てきましたが、必要に応じて税理士や社会保険労務士などと協議し、可能な策を講じて支出を抑える努力をしましょう。
必要な資金を確保する
支出を抑えた上で必要な資金を調達するわけですが、コロナ禍で特別に講じられた施策で利用できるものがあれば、積極的に検討しましょう。
例えば過去には持続化給付金などの支援策がありましたが、こうした措置を有効に活用し社内にできるだけの資金を保留しておけるようにしておきたいものです。
国だけでなく自治体も独自の施策を打ち出すので、こうした情報を捉えられるように情報の網を張っておくことも大切です。
従来からある信用保証協会の保証や日本政策金融公庫の融資などを利用することも考えられますが、こうした公的な融資は迅速性がないので、緊急的な対処が求められるシーンでは役に立ちません。
迅速性、確実性が求められるシーンでは弊社が手掛けるファクタリングによる資金調達が有効ですのでご検討頂ければ幸いです。
まとめ
本章ではオミクロン株の流行が起きている状況下で経営者がどのような目線で資金調達を考えるべきか見てきました。
将来の見通しが利きづらく、いつまで続くか定かでないコロナ事情の元では、目先の資金確保だけでなく将来にわたる総合的な資金繰りを考える必要があります。
まずはできるだけ正確に現状を把握し、対処の必要があれば可能なかぎり支出を減らし、その上で必要な資金を確保していくという姿勢が求められるでしょう。
会社が大きくなるほどに現状把握は難しくなるので、必要に応じて専門家の助力も得ながら問題点の把握に努めてください。
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