コロナ騒動はいまだに陰りを見せていませんが、最近のニュースでは経済方面で物価高騰の話題を見聞きすることが多くなりました。
感染症対策による自粛が一定程度続いていることや、国全体で見ればインバウンド効果が全く期待できないことでコロナ対策への出費のみがかさみ、予算的にも苦しい状況です。
物価高は国民一人一人の家計にとっても重要な影響がありますので、この回では物価高騰における日本への影響について考えてみましょう。
コロナに加えてウクライナ危機が発生
わが国は様々な物資や食料、燃料などを輸入に頼る輸入国家という側面があります。
そのため、コロナ騒動が始まってからは元々物価高の影響を受け、これが懸念されていたところでした。
例えば物流コストの増加から一定の品目で値上がりを見せる品目もありましたし、海外の天候不良などの影響で食料品の一部が値上がりしていました。
そこに加えて、直近ではロシア・ウクライナ危機が起き、実際に紛争が始まってしまったため、日本が輸入する品目のほぼすべてに価格高騰の圧力がかかることになってしまいました。
よく話題に挙がるのは小麦製品で、ウクライナ地方で輸出が盛んなため、紛争により生産ができなくなることで、他地域で生産される小麦に注文が殺到し、全世界的に値上がりを見せています。
しかし日本においては、値上がりするのは小麦製品だけに限りません。
むしろ値上がりしない品目を探すのが大変なくらい、ほぼすべての製品に値上げ圧力がかかっています。
ここ数か月間で間違いなくインフレ傾向に向かうことが予想されていますが、3月以降すでに値上げが決定されている品目もあります。
これについて次項で少し見てみたいと思います。
3月以降の食糧・日用品の値上げ品目
まずは食料品の部門から、伊藤ハムの主力商品であるソーセージやハムが3月1日~値上げされています。
値上げ幅は商品によって4%~12%程度の幅となっています。
同じく3月1日から日本水産の缶詰類が値上がりしており、こちらの値上げ幅は3%~20%です。
4月1日からは大塚水産のレトルトカレーが10円の値上げ、メグミルクはチーズ類を4.3%~10%の幅で値上げを決めています。
次に飲料部門では、コカ・コーラボトラーズジャパンが5月1日からペットボトル類の商品を5%~8%の幅で値上げを決めています。
大塚食品は4月1日からミネラルウォーターを10円値上げとしています。
日用品部門では大王製紙が3月中旬から15%以上の値上げ、日本製紙も4月1日~10%以上の値上げとしています。
ここでは確認されている中でごくわずかな商品を取り上げましたが、個別の商品で見ればこんな数ではなく、膨大な製品が多かれ少なかれ値上がりすることになるでしょう。
インフレ圧力は間違いなく増強されるはずですので、値上げ製品の動向については注視が必要です。
物流コストも増大
元々コロナ禍で燃料費の高騰圧力がありましたが、ウクライナ危機でエネルギー分野における価格高騰圧力がさらに高まっています。
ロシアは天然ガスや原油などのエネルギー資源を保有しており、世界からの経済制裁の発動によって需要と供給のバランスがかなり不安定になっています。
日本はエネルギー資源がほぼゼロで全て輸入に頼っていますので、物流費の高騰から各種製品の配送コストが上がり、店頭商品の値上がりにつながることは予想できます。
直近では産油国がテロ組織の攻撃を受けて産油活動が低下するという事態も起きており、こうした不穏な情勢も見え隠れしています。
賃上げは慎重路線か
物価が上がっても、国民の賃金が上がれば問題はありません。
むしろ物価高と賃金の上昇が組み合わされば経済の好循環が生まれ、景気は上昇します。
では国内の賃金に上昇の機運はあるのかというと、これもなかなか難しい様相です。
連合などの労働組合は常に賃上げの要請を出していますが、経営側もそう簡単にうなずけるわけではありません。
特に今はウクライナ危機で仕入れ等にかかるコストが増えていますから、とても賃金どころではないでしょう。
一部、人材獲得の必要性から新卒採用に限って大幅に初任給をアップさせる宣伝をしている企業もあるようですが、こうした企業は物価高騰の影響が比較的少ない、数少ない業種と思われます。
悪いインフレが今後も続く予想
諸外国で情勢が安定していれば、国内で調整を図ることにより景気を好転させることも不可能ではありませんが、今は日本が手を下せる範囲を超えた世界情勢の変化が起きている状態です。
これにより、賃金が上がらず物価だけが上昇する悪いインフレが起き、ある程度の期間はこれが続くと予想されます。
ウクライナ紛争が第三国の介入などで早期の決着となれば、あるいは好転するかもしれません。
今後もウクライナ情勢のニュースチェックは見逃せませんね。
まとめ
本章では昨今の物価高騰と日本への影響について考察してみました。
元々コロナ禍で一部製品の値上げが見られていたところ、ロシア・ウクライナ危機が実際に紛争に発展したことから情勢が一変しました。
家計の中では主食となりうる小麦製品の値上げが注視されているかもしれませんが、実際には小麦に限らず、数多くの製品で値上げがされています。
食品、飲料だけでなく日用品の類まで、ほぼすべての国内製品に値上げ圧力がかかっているので、普段買っている身近な製品もいずれ値上げされると思っておいた方が良いでしょう。
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