学生時代の社会科の授業では経済に関する内容もあり、景気に関する用語も覚えさせられたと思いますが、「インフレ」や「デフレ」もその中にありました。
この二つは一般社会でもニュース等で見聞きしますが、「スタグフレーション」についてはどうでしょうか?
最近、社会情勢の急激な変化から特にスタグフレーションについて心配だという意見が聞かれます。
本章ではこのテーマについて分かりやすく解説していきますので、ぜひ参考になさってください。
スタグフレーションを理解するにはインフレ、デフレについても基本を押さえる必要があるので、まずはこちらから簡単に押さえていきます。
インフレーションとは
一般に「インフレ」と呼ばれるこの現象は、物価が継続して上昇している状態を指します。
つまり物の値段が上がり続けるということで、消費生活者にとってはあまり良いイメージが無いと思います。
ただ、インフレによって物価が上昇することは、企業収益を増大させることから賃金の上昇にもつながり、決して悪いものではありません。
消費の拡大を助け、景気を安定させる効果があるので正しいインフレは望ましいことと言えます。
デフレーションとは
通常「デフレ」と呼ばれるこの現象は、インフレとは逆に物価が継続して下がっている状態を指します。
消費者の目線ではモノが安くなるということで一見喜ばしい感じがするかもしれませんが、デフレでモノの値段が下がると企業の収益は悪化し、従業員の所得も下がります。
企業はモノやサービスの値下げを迫られ、作っても作っても儲けが出ない状態となります。
この負の用が連続すると「デフレスパイラル」に陥り、なかなか抜け出せない状態となります。
一般的に、インフレが正しく作用することは良いこととされますが、デフレは望ましい状態ではなく、そのため日本政府は長年「デフレ脱却」を旗印に様々な経済施策を講じてきた経緯があります。
スタグフレーションとは?
正しいインフレは好ましいものですが、悪いインフレは物価上昇の負の作用だけをもたらし、景気の向上や安定といった正の作用をもたらしません。
この、いわゆる「悪いインフレ」がスタグフレーションです。
スタグフレーションは景気が停滞しているにも関わらず、物価だけが上昇する状態で、国民生活が向上しているわけでもないのに物価だけが上昇する厄介な事象です。
構造的にはスタグフレーションは物価上昇をもたらすのでインフレの一種と捉えられていますが、良い作用はありませんから絶対に避けるべきものです。
ところが、昨今のロシア、ウクライナ情勢で世界経済が混乱を見せる中、アメリカではすでに日用品の多くが急激な値上がりを続け、国民の生活を圧迫しています。
日本でも日用品など様々な品物が値あがりを見せている状況で、ニュースではこの話題が欠かせなくなっています。
景気が拡大しているわけではないのに、戦争などの影響で物資が滞るなどし、その影響で物価の上昇だけが続いている状態です。
この状況を見て、日本国内で本格的なスタグフレーションが起きるのではないかという危惧がなされるようになっています。
日本でスタグフレーションになる可能性は?
悪いインフレの様相が見える今、日本国内で本格的なスタグフレーションが起きる可能性はどれくらいあるのでしょうか。
これについては専門家でも「必ず起きる」「いや起きない」と断言することはできませんが、現状では「可能性はあるけれど、それほど高くない」というところに落ち着きます。
日本国内ではかねてから賃金を上昇させる政策を続けていますし、先進国として経済をある程度コントロールできる力があるので、深刻なスタグフレーションが起きる可能性はそれほど高くないと判断できます。
ただし、昨今の世界情勢は相当悪い方向に向かっているのも事実です。
日本一国ではどうしようもない事情が複数関与すれば、望ましくない効果、作用が日本に及ぶことは十分考えられます。
スタグフレーションに備えるには?
本格的なスタグフレーション発生に備えて、国民目線としては物価上昇の作用を緩和するためにできるだけ稼ぐ、貯蓄するという意識が必要になります。
可能であれば効果的な投資を考えても良いでしょう。
企業目線としては、消費者が購入を控えがちになることを想定し、より付加価値の高いサービスや商品の開発に力を注ぐなどの対応が必要になります。
まとめ
この回では「スタグフレーション」がどのようなものか、基本的なところから押さえて見てきました。
スタグフレーションは景気が上向いていないのに物価だけが上昇していく現象を指し、経済的にはかなりまずい状況を示すものです。
昨今の日本を取りまく世界情勢から、日本国内でも物価があがり国民生活を圧迫し始めています。
深刻な事態とならないよう政府にも対応を求めたいところですが、国民目線でも生活者視点、企業視点で必要な対策をとっておきたいですね。