最初は一人で事業を始めても、ある程度ビジネスが軌道に乗ってくれば企業規模を拡大しなければならなくなります。
従業員を雇うことができれば、彼らは経営者の手足となって日々の業務を遂行してくれます。
経営者にとっても大切な存在ですが、日本の雇用制度でも被雇用者たる従業員は海外に比べて手厚く保護されています。
給与の未払いや支払い遅延に対しては経営者に重い罰則も課されるため、絶対に回避しなければなりません。
本章では従業員の給与の未払いや支払い遅延を回避する方法について詳しく解説していきます。
賃金の支払いは最優先事項
企業運営を進める中では様々な出費が必要になりますが、一定の優先順位があるとされます。
支払を滞らせた時の会社に対するダメージが大きいものほど優先度が高位になり、従業員への給与支払いはその中で最も優先度が高いとされています。
以下で主な出費の優先度を見てみましょう。
①従業員の給与支払い ②買掛金の支払い ③諸経費 ④税金や社会保険料 ⑤銀行融資の返済 |
どうでしょうか、銀行への支払いが一番下になっていることが意外かもしれませんが、従業員への給与支払いが最優先されるのは、未払いや支払い遅延のインパクトがそれだけ大きいからです。
賃金が支払われなくなれば彼らは仕事をしてくれませんから、会社は機能を停止してしまい、従業員から訴訟を起こされることになるでしょう。
またこうした民事上のこととは別に、経営者に対しては懲役刑も含む刑事罰が適用されるので大変な注意が必要です。
では給与の未払いや支払い遅延を避けるためにどのような方策があるのか見ていきます。
売掛債権を現金化する
従業員への給与未払いは上述の通り絶対に避けなければならない事態です。
しかも給与は毎月決まった期日までに支払う必要があるので、資金確保のための時間的余裕はありません。
迅速、確実な資金確保で優位性があるのがファクタリングです。
売掛金を売却して現金化するもので、借り入れや融資のように時間のかかる審査は不要です。
当社のファクタリングであれば最短で即日、遅くとも数日以内に資金化が可能ですから、必要な資金をすぐに用意できます。
突然の資金ショートのような緊急性の高い事態にも即応しますので、急ぎの事案でも諦めずにぜひ当社にご相談ください。
雇用調整助成金を検討する
緊急的な事案ではなく、経営難などから近い将来に会社の資金が枯渇する可能性があるような事案では、政府が用意する雇用調整助成金の利用を検討することもできます。
この制度は経営難から従業員を一時的に休業させたり、教育訓練や出向を行って雇用を継続した場合に、賃金や休業手当などの一部を助成するものです。
急な資金枯渇ではなく、将来の見通しが立っている場合には、事前に一時的休業などが可能かどうか検討し、可能であれば雇用調整助成金の利用を検討しましょう。
近年はコロナの影響で事業縮小などを余儀なくされる事業者が増えているため、コロナ関連の休業等でも利用されています。
詳しくは社会保険労務士などの専門家にアドバイスを受けると良いでしょう。
役員報酬を減額して給与支給に充てる
自社内で対処する方法としては、役員報酬を減額し、その分を従業員の給与に充てることもできます。
役員報酬の減額は自由にできるものではなく、株主総会での決議が必要で期日も制限されていますが、経営難などの事情がある場合は期の途中でも認められます。
ただし役員の了解を取らないとトラブルになるので、取締役会で事前に承諾を得ておくことが望まれます。
借り入れをする
手間のかからない方法として、必要な資金を外部から借り入れるということもできます。
普段付き合いのある銀行に融資をお願いしても良いですが、中小事業者の場合は断られる可能性があることと、融資の審査に時間がかかるので、急ぎのケースでは対応が難しいかもしれません。
スピーディな対応が必要な場合はノンバンクのビジネスローンを検討することもできます。
銀行よりも審査は柔軟で対応も比較的速やかです。
第三者保証なしの信用貸しプランでも数十万円程度の調達が望めます。
不動産などの担保があればまとまった資金の調達もできますが、担保の審査には時間がかかるので対応スピードは遅くなります。
また、従業員への給与支払いが難しいということはそもそも資金枯渇が起きている状態ですので、さらに借り入れをして赤字を増やすことは財務上で致命傷を負う可能性があります。
この点は十分留意が必要です。
経営者から会社へ貸付け
法人であれば、経営者個人から会社に資金を貸し付ける形で給与原資を確保することもできます。
ただし経営者個人に資力があることが必要です。
法人運営は個人との切り離しができることがメリットですから、本来は経営者個人の私財を投入することは望ましいことではありません。
取引先への支払いを猶予してもらう
目下の支払いに窮する事情があれば、取引先への支払いを待ってもらうことも選択肢に入ります。
冒頭で見たように、買掛金の支払いなどは従業員の給与支払いよりも後順位です。
どうしても必要であれば取引先にお願いして支払いを待ってもらうように交渉してみましょう。
当然信用面でがた落ちになりますが、他に方法が無ければ致し方ありません。
まとめ
本章では従業員の給与の未払いや遅延を回避する方策を色々と見てきました。
時間的余裕があれば十分な計画を練ったうえで雇用調整助成金などの公的施策を検討できますが、多くの場合そのような余裕はないでしょう。
緊急的な対応策としては外部からの借り入れや、取引先への支払いを待ってもらうことも検討しなければなりません。
ただ信用面に大きな影響がでることや、負債を増やしてしまい余計に経営状態が悪くなることも考えられるので、できれば自社の独力で事態を乗り切りたいものです。
自社資産である売掛債権を現金化することで資金調達ができ、負債を増やさずに給与の原資を確保できるので、ぜひ迅速性のある当社ファクタリングをご検討頂ければと思います。