会社を立ち上げてから軌道に乗せるまでには相当の苦労が必要です。
自らの時間や生活を犠牲にし、何とかビジネスが回るようになったとしても、忙しさのわりには裕福になっていないと感じる方も多くいらっしゃいます。
本章では、仕事は忙しいのに金銭的に満たされないのはなぜか、これを抜け出すにはどうすれば良いのか見ていきます。
キャッシュフローを管理できるようにする
給与所得者の場合、手にするお給料は全部自分のものですから、その範囲内で自由にやりくりすることができます。
ところが企業運営においてはそうはいきません。
ビジネスが回り得意先から入金があるとしても、それがそのまま会社のものになるわけではありません。
そこから税金の支払や地代の支払い、仕入れにかかる経費などが引かれるので、必要な出費を正確に捉えておかないと、色々使った後に残ったお金を見て「これだけ?」となってしまいます。
また得意先が複数あると、入金のタイミングがズレるのでこの管理が大変です。
入金のタイミングが先なのに支払いが必用となれば当然資金枯渇を起こしやすい環境になり、「全然稼げてないじゃん」となります。
キャッシュフローを管理してビジネスを回していけるようにするのが、経営者の重要な仕事の一つと言えます。
役員報酬を見直してみる
法人の場合、役員報酬という形で会社から報酬を受け取ることになりますが、創業当初から変更していない場合は見直してみることも検討しましょう。
起業間もない時期は自分のことより会社が優先ですから、役員報酬は低めにすることが多いと思います。
役員報酬を増やせばその分個人にかかる税金や社会保険料も増えるので、税理士などから低く設定するように助言されることも多いです。
しかし軌道に乗った後は、これを一度見直してみることも有効です。
役員報酬を増やすことで会社の利益がそれだけ減りますから、個人にかかる税金を考えても、法人にかかる税金が下がり、全体として税負担が軽減される可能性があります。
小規模の事業者は会社のお金=自分のお金という意識が強い経営者が多いと思いますが、会社と個人を改めて切り離して考えてみましょう。
個人で受け取る報酬が増えれば実生活はもちろん、気持ち的にも楽になります。
売り上げ重視よりも余裕資金を増やす意識を持つ
売り上げが増えることはもちろん良いことですし、創業当初は売り上げを向上させるために必死に働くのは当然のことです。
しかしある程度軌道に乗った後は、売上よりも会社の資金力全体が上がるように意識を向ける先を変えてみましょう。
がむしゃらに売り上げを上げても、クレーム対応に追われたり見合わない資金投下で支出が増えてしまっては時間もお金も削られるだけです。
例えば損益計算書は売り上げを確認できるので、これに注視しがちですが、それよりも貸借対照表の現預金が増えていっているかどうかに視点を移してみましょう。
現預金が増えていっているということは余裕資金が増していっていることですから、会社の体力が増していることを意味します。
簡単にはいかないでしょうが、売り上げを上げることに集中してしまうと全体が見えなくなり、いつまでたっても余裕が生まれないことが多いです。
売り上げ至上主義となっていないか改めて考えてみましょう。
まとめ
本章では仕事は忙しいのに金銭的には満たされない理由や、そこから抜け出す方法や考え方を見てきました。
経営者としてはキャッシュフローの概念を理解する必要があることと、法人の場合は役員報酬の見直しを検討することで余裕が生まれるかもしれません。
また売上よりも余裕資金の増減に意識を移すことで、安定した企業運営につながりやすくなります。
一朝一夕にはいかないと思いますが、ふと立ち止まって自分や会社を見つめ直す時間を持つと何かを変えるきっかけになるかもしれません。
この記事へのコメントはありません。